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アーカイブ: 9月 2019

WDAI

先日ストローマン主催のインプラントのセミナーWDAIベージックコースに参加してきました。
WDAIは“Woman Dental Academy for Implantology”女性歯科医師が学びやすい環境を目指したもので、講師の先生は田中道子先生を始め、柳井知恵先生、立川敬子先生、渥美美穂子先生の他、臨床経験豊富な女性歯科医師の講師の先生方か多くいらっしゃいました。
そこで学んだことや感じた事など交えながら以下でご紹介していきたいと思います。

セミナーは合計2日間行われました。
1日目はインプラント学概論、インプラントに必要な局所解剖、インプラント診査診断、治療計画、外科の基本などの講義がありました。インプラントを行う上で重要な動脈や神経、起こりうる合併症、偶発症など改めて学ぶことができました。
患者さんによって残っている歯の数や骨の状態は様々であるため、それを調べるための診査、診断、患者さんへの説明と同意がいかに重要であるかも学ぶことができました。
また、小林先生によるインプラント器具の特徴の基本や今回はストローマン会社でのセミナーであったため、ストローマン会社のインプラントの特徴をマニュアル本を参照しながら学びました。
メーカーによる違いなどが詳しく聴けるのはセミナーならではと感じました。初心者でもとても分かりやすく面白く教えて頂きました。

午後はストローマン社製、BLT、TL埋入のインプラント外科実習を行いました。
外科実習では柳井先生によるデモンストレーションのもと、顎模型を用いてインプラント体埋入実習を行いました。
BLTとはボーンレベルインプラントのことで、アバットメント(被せもの、歯として見える部分とインプラントを接続させるもの)が骨の中のレベルにあるもの、TLとはティッシュレベルのことでアバットメントの接続が骨の上、歯肉のレベルにあるものを言います。今回はこの二種類のインプラント体の埋入実習をしました。
また歯肉付きの模型であったため切開の入れ方から縫合の仕方まで、臨床経験の話を交えて頂きながら行うことができました。

2日目はインプラントの補綴の基本、デジタルデンティストリー、ガイデットサージリー(インプラントを埋入する際の指標となるもの)、 光学印象のデモンストレーション、CAD/CAM(コンピューターで設計、作製するもの)についての講義がありました。
デジタル化の普及により印象材(型取りの材料)が不要となり不快感の軽減や嘔吐反射の方にも使用でき、印象を画面上で即時に観察することやデータを送信、共有できることが可能になった事でIOSの優位性を学ぶことができました。

午後は補綴実習、オープントレー法による印象採得がありました。
インプラントの型取りには用いるコーピング(型取りに使用する部品)によってオープントレー法とクローズドトレー法の2種類があります。

印象からコーピングの着脱をしないため一般的に印象精度が良好とされているオープントレー法を用いることが多いですが、コーピングの長径が長いため、口を大きく開ける事に制限のある方にはクローズドトレー法を用います。
今回は印象精度をあげるためのコツや注意点をご指導頂きながらオープントレー法を行いました。

インプラントの歴史は50年になりますが、講義や実習が大学取り入れられたのは最近であり、大学時代にインプラントを学んだ事のなかった先生方やこれからインプラントを臨床に取り入れていきたい先生方など様々な理由で参加していました。
私は現在研修医なので大学での座学メインのインプラント治療についてしかわかりませんでしたが今回のセミナーで基礎的な知識と共に具体的な症例を見ながらの講義や実習があったため臨床的な知識を身につけることが出来たと思います。


また講師の先生は皆女性という事もあり、女性歯科医師ならではの考え方などを聴くことができました。

これまで、歯がなくなってしまったら入れ歯かブリッジの二択になってしまっていたところにインプラントが加わることで、治療の選択肢の幅が広がるのだと感じたのと同時に今後習得すべき技術だと思いました。

教科書で学んできた事が基本なのはもちろんですが、それだけではなく臨床での実際や経験談を聴き、また臨床で活躍される先生方を目の当たりにし今後のモチベーションの向上になりました。今回のセミナーで学ばせて頂いた沢山のことを活かしていけるよう日々精進していきたいと思います。

歯科医師 沼口友美

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口腔機能の衰え
《オーラルフレイルとは》

皆さまこんにちは。
厳しかった夏の日差しも少しずつ秋風とともに和らいでまいりました。
夏のお疲れで体調を崩されてはいませんか?

今回は「オーラルフレイル」についてご紹介したいと思います。
皆様は「フレイル」という言葉を耳にしたことはございますか?

※frailtyの概念の日本語訳はこれまで虚弱が使われてきましたが現在では概念との整合性をとるため日本老年医学会から提唱されたフレイルが日本語訳として用いられています。

フレイルとは心身機能が落ち、介助が必要になる一歩手前の状態をいいます。
この状態のままでいるとやがては寝たきりや介助が必要な状態になってしまいます。
しかし、早期に原因を把握し適切な介入をすることで再び健康を維持し、自立した状態へ戻すことができるというものがフレイルです。

またフレイルは身体的な衰えのほか、心理的や社会的な衰えなどの多面性をもちます。

※ロコモティブシンドローム…運動器の障害により歩行困難など要介護になるリスクが高まる状態
※サルコペニア…加齢や疾患による筋力が低下した状態

オーラルフレイルの説明と問題点

そして、口の衰えを特にオーラルフレイルといいます。
口は生活に欠かせない機能を多く有しています。
しかしオーラルフレイルによって様々な障害が出てきてしまいます。

たとえば、虫歯や歯周病による歯の喪失に対し適切な治療がされず放置された状態が続くことで口の機能である咀嚼機能(食べ物を噛む能力)が衰え始めます。
咀嚼機能が衰えると噛めない食品が増加し、適切な栄養素(タンパク質等)を摂ることができなくなり、身体に低栄養をもたらします。
低栄養状態になると筋肉量も低下しさらなるフレイルの悪化に繋がります。
また咀嚼しなくなることで、認知機能の低下にもつながると近年言われています。
さらに、オーラルフレイルでは、あえて噛みやすい食事を選択することで舌や口の周りの筋肉、食べ物を飲み込む為の筋肉が使われにくくなり、むせて咳き込むことが多くなります。
また会話の際にはうまく舌が回らなくなる等の症状が見られます。

このように口と心身の健康は互いに密に関連し、影響し合っていると言えます。
しかし、身体にトラブルが起こった場合、医科にはすぐに受診しても口のトラブルは所詮死ぬわけではない、と軽視される傾向があり、些細なトラブルではなかなか歯科を受診されない方も多いのではないでしょうか。
ではここで下にオーラルフレイルかどうかのチェックシートがあるので、1つチェックをしてみてください。

いかがでしょうか。オーラルフレイルの危険性はありましたか?

しかし、冒頭でもお話ししました通り、オーラルフレイルは元の健康な状態に戻ることができる「可逆性」の性質を持っています。
即ち、不可逆性である接触嚥下障害や咀嚼機能不全になる前に、早急にフレイルの段階で介入し改善することが重要になってきます。
ではどのような対策があるのでしょうか。

対策改善策

オーラルフレイルにならないための対策または、なってしまっている場合に出来る改善策、それは歯を残すことと口腔機能の向上です。
厚生労働省によるオーラルフレイルの提言をうけて平成元年に8020運動が生まれました。
8020運動は80歳で20本以上の歯を保ち、何でも噛んで食べられることを目指して展開されてきました。
歯を失う主な原因は歯周病と虫歯によるものであり、これには日々の適切なブラッシングとかかりつけ医による定期的なクリーニングと検診を受けることで予防が可能です。
また8020が達成できなくても、失った歯をブリッジや入れ歯で補綴し、口の中の状態を良好に保つことで食べられる口の維持につとめることが重要です。
また栄養を十分摂取するために、歯を残すことと同時に噛み砕き、飲み込むといった口の周りの筋肉の機能の向上にも目を向ける必要があります。
そのためには普段からの口周りの筋肉を鍛えたり、食べ物を口の奥へ運ぶ潤滑剤である唾液の分泌の促進が重要になってきます。
例えば前者には〈パタカラ体操〉というものがあります。
それぞれの発音でどこの筋肉を使っているか意識することで自分はどこの筋肉が落ちているのかを認識することができます。

また、唾液を分泌させ、円滑な食事をするために、〈唾液腺マッサージ〉があります。
唾液は唾液腺という分泌腺から分泌されますが、加齢や服用されている薬の副作用、ストレスがかかったり緊張などで出にくくなります。
唾液が出にくいと感じている方は下図のマッサージ方法をお食事の前にぜひ試してみてください。
しっかりと唾液が分泌されれば食べ物の味を感じ、美味しく食べることができます。
そしてこれらを継続することがオーラルフレイル改善の近道となります。

さらに、意識的に咀嚼や口唇、舌の運動を促す食事を選択することが大切です。
低下した咀嚼を中心とした摂食・嚥下機能に関わる筋肉を回復させることで摂食・嚥下機能だけではなく全身の筋力や身体機能も回復し、外出、食事、会話を楽しむことができ、社会参加への自信がつくことで精神心理的フレイル、社会的フレイルからも脱却できると考えます。

まとめ

現在我が国は世界で最も高い高齢化率を有しており、2025年には団塊の世代がすべて、75歳以上となり、2040年には高齢化のピークを迎えようとしています。
その為今後は平均寿命と健康寿命の差を減少させ、元気に長生きすることが大切です。
ご高齢になってからすでに衰えてしまった口の機能を回復するのは難しくなってきます。
そのため、口の中の些細な異変にご自身で早く気がつき、定期的な歯科でのオーラルフレイルのチェックをお勧め致します。
また、ご自身や歯科にて口腔機能訓練のみを行うよりも、日々の食事を通じて口腔機能を改善する方が栄養状態も改善することから効率的であると考えます。
生きることは食べること、しっかり噛んでしっかり食べることが大切です。
現在、飲み込みづらい、口が渇くといった症状でお困りの方、さらに口腔機能訓練をもっと知りたい等、少しでもオーラルフレイルについて気になってる患者様がいらっしゃれば、お気軽にご相談ください。

歯科医師小松リナ

〈参考文献〉
日本抗加齢医学会雑誌アンチエイジング医学2016
老年歯科医学用語辞典第2版
マンガでわかるオーラルフレイル

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