皆様こんにちは。
朝晩気温もぐっと低くなり、冬本番になってきました。
寒くなってくると、すき焼きやおでん、水炊きなどの温かいものが恋しくなりますね。
ところで皆様は普段食事をする際、普段どのくらい食べ物を噛んで食べているのか意識したことはありますか。おおよそ一口に噛む平均回数は10回から20回と言われています。
それに対して、一口に噛む回数の目安は30回と言われています。これは「フレッチャリズム」という考え方が由来しています。
「フレッチャリズム」とは
「フレッチャリズム」とは、米国で時計商をしていたホーレンス・フレッチャー氏が生命保険に入ろうとしたところ、「肥満は短命」という理由で断られたため、様々な医療や健康法を試みてたどり着いた「よく噛んで食べる」という健康法が元になっています。
食べ物をよく噛んで食べるということはよく唾液や、胃液などの分泌がよくなり食べ物の消化や吸収がよくなります。
また、脳が活性化されて満腹中枢を刺激することにより肥満細胞からレプチンというホルモンが分泌されます。
このホルモンの働きにより、食欲が抑えられるため少ない量で満腹感が得られます。
そのため肥満の予防につながると考えられています。
さらに、唾液の分泌がよくなることにより口の中での唾液の働きが活発になり虫歯になりかけた歯を修復したり、細菌の感染を抑えたりして虫歯や歯周病になるのを防ぐことができます。
それ以外に、唾液に含まれる酵素には、発がん性のある物質の作用を抑える働きがあると言われておりがんの予防になると考えられています。
また、よく噛んで食べることにより口の周囲の筋肉が発達し歯並びがきれいになります。
そのため言葉の発音がきれいになります。
口の周囲の筋肉以外にも、前述したように噛む運動により脳が活性化します。
これはホルモンの働きだけでなく脳に酸素や栄養を送る働きも活性化するため、高齢者の認知症の予防に役立つと考えられています。
よく噛んで食べる人は、早食いの人よりも肥満になりにくい
今までよくものを噛んで食べることについて説明をしてきましたが、逆に普段あまりもの噛まないで食べる人と違いはあるのでしょうか。
実は、厚生労働省の疫学調査で、食事を取る際に早食いの習慣がある人はゆっくりと噛んで食べる人と比べて、肥満の傾向があることがわかりました。
このことからよくものを噛んで食べることは肥満を予防する手段として、有効な手段であると再度認識できます。
実際に厚生労働省では一口に30回噛む習慣を進める「噛ミング30(カミングサンマル)」という運動を提唱しています。
これを機に、普段食事をとる時あまり時間をかけずに済ましてしまう方もこれを機によく噛むことを意識して普段よりも時間をかけて食事をしてみてはいかがでしょうか。
歯科医師 一瀬知久
2018年12月20日 カテゴリ:未分類