1.顔の印象は口元で決まる!
みなさんは、顔の印象はどこで決まると思いますか?
昔から「目は口程に物を言う」というから、目だと思いますか?
実は、口元がかなり大きな役割を担っているのです。
マスクをして目元のメイクをして、他の人の真似をする芸能人がいると思いますが、あれは目だからできることなのです。他の言い方をしてしまえば、口元を隠しているから似せることができるのです(そう簡単に真似はできませんが)。
ぜひ、いろいろの人の口元を隠して観察してみてください。
2.咬み合わせが悪い、歯並びが悪い原因
歯並びが悪くなる原因は遺伝と言われてきましたが、はたして本当なのでしょうか?
この画像は、Dr.John Mewによるもので、とても有名な画像です。
右側は姉、左側は妹だそうです。この2人の違いは何だったと思いますか?
姉は口呼吸で、妹は鼻呼吸で育ったそうです。
つまり、歯並びの原因となっているものは、遺伝の要素よりも習癖などによる環境の要素の方が大きかったのです。
この画像も有名なものです。
成長の途中で、ネズミを飼ったことによって鼻閉となり、口呼吸になってしまったそうです。
口呼吸だけではありません。低位舌、異常嚥下などの習癖も、顎の発育に悪影響を及ぼし、歯並びが悪くなる原因となります。
3.歯を動かす力
歯牙を移動させる力は1.7gであると言われています。だいたいペットボトルのキャップくらいの重さの力で歯は動いてしまうのです。
では、舌の力はどれくらいでしょう?
A. 50g
B. 250g
C. 500g
ぜひ考えてみてください。
正解は、C. 500gでした。舌には、ちょうど500mlのペットボトルの重さの力と同じくらいの力があるのです。
唇(くちびる)周辺の筋肉には300gの力があると言われています。
では、無意識嚥下(無意識にごっくんと飲み込むこと)は1日に何回しているでしょうか?
A. 200回
B. 1200回
C. 2000回
正解は、C. 2000回でした。
つまり、1日に2000回も正しい嚥下をしているか、正しくない嚥下をしているかで、歯の位置は大きく変わってきてしまうのです。
4.矯正治療をしても後戻りしてしまう?
子供の頃から早いうちに歯並び・かみ合わせが悪くなる「原因」、具体的には、「呼吸」「舌」「嚥下」「口唇」の機能が正常になるように治療を進めていくと、顎が正常に発育して、歯並びもよくなります。
では、大人になってからではもう遅いでしょうか?いわゆる歯にブラケットをつけて矯正をしても後戻りするからとためらっている人もいるのではないでしょうか?
ここまで読んでくださったみなさんは、もう想像ついていると思います。そう、歯はとても小さな力で動いてしまうので、口唇や舌に悪習癖があると、後戻りをしてしまうのです。
矯正治療中に、悪習癖についてきちんと知り、治していけば、後戻りの心配は減ると思います。
5.矯正治療しか方法はないの?
咬み合わせがズレてしまうと、顎関節症、頭痛、肩こり、めまいなどの原因になることがあります。場合によっては、歯根破折や補綴物(被せものや入れ歯)の破損の原因になることもあります。
咬み合わせが低くなってくると、本来の咬み合わせの力より、余分に歯に力が加わってしまいます。若いころよりもだんだん歯が動いていることはありませんか?
下顎が後退していると、気道がせまくなり呼吸しにくい状態になっていて、よく眠れないこともあります。
矯正治療の選択ができなかったとしても、スプリント(マウスピース)治療や補綴(被せものや入れ歯)治療で、本来あるべき位置で咬み合わせを作ることによって、これまでは不定愁訴と思われてきたもの(頭痛、肩こり、めまいなど)が改善することがあります。
あなたの咬み合わせは大丈夫ですか?
もし、何か咬み合わせでお悩みのことがあれば、歯科医師にご相談ください。
歯科医師 梶永